一樹君の恋人は天使なんです
何となく傲慢な京香から、いつもとは違う寂しさを感じた一樹。
お金持ちの娘である京香だが、いつもどこか寂しそうで幸せそうには見えない京香。
それ故に妄想も激しく、偽造までしても大きなリアクションをして注目されたかったのかもしれない…。
「安心して下さい。私、辞めますからここの事務所。二度と、貴方に着きまとわないわ」
「…本当か? 」
「ええ、本当よ」
「そうか…分かった…」
隣で聞いていた美恵は、まだ京香を信じきれない顔をしている。
「あーあ。こんな形で、今までの事ぜーんぶバレちゃうなんて。あっけないわね。もう少し、楽しみたかったけど」
京香はもう一度調査資料を見た。
資料には京香がアメリカにいた時、同僚の男性に言い寄り、交際もしていないのに交際していると周りに言いふらし、体の関係があると偽造した写真を見せていた。
その写真は合成写真で、全くの事実無根だった。
同僚の男性は事務所を辞め、引っ越しをして遠くへ行ってしまった。
だが、その男性社員には交際中の女性がいた。
京香はその女性を調べて、女性に着きまとい偽造写真を見せたり、夜道で階段から突き落としたこともあった。
傷害罪として被害届を出す前に、お金で解決さっせ示談させていた。
他にも同僚の女性に対して嫌がらせをして、全裸の写真を捏造してばらまいたこともあった。
訴え出ることも考えたが、写真が写真なだけに相手側の女性が訴えを取り下げたのだ。
事を潜り抜けてきた京香。
一樹を追いかけて日本に帰国して、一樹と交際していると言って卑猥な写真を偽造工作して悠に見せていた。
全てがばれて、京香は居直っているもののどこか罪悪感を感じ始めたようだ。
ひと段落して一樹はホッとしていた。
悠からメールが届いていて、昭三と話をして養女に行く事にしたと報告が入っていた。
そして明日で事務所は退職すると。