一樹君の恋人は天使なんです

 とりあえず、京香の件は一件落着し、悠も無事に養女行くことが決まり一樹はほとしていた。



 仕事を終えて一樹が事務所から出て来ると、美恵が待っていた。


「所長、ちょっといいでしょうか? 」

「どうしたんだ? 」

「いえ、ちょっと気になったことがありまして」

「え? 」

「先日、悠君が倒れた日なのですが。お昼休みに、悠君が会っていた人を見かけたのです」


「会っていた人? 」

「はい」


 美恵はいつにない、深刻な顔をしていた。


「悠君が会っていたのは、末森財閥の会長でした」

「え? 」

「悠君の苗字も末森ですから、もしかしたら何か関係があるのではないかと思いまして」


 一樹はちょっと迷ったが、美恵には本当の事を話してもいいと思った。


「そのことなら、明日ちゃんと本人から話があると思うぞ」

「え? どうゆう事ですか? 」

「末森財閥の会長は、お爺さんの兄弟らしい」

「それじゃあ、親戚ってことですか? 」

「そうらしい。本人も、それを知ったのはつい最近だそうで。驚いている」

「そうなんですね? やっぱり、普通の人とは違うって思っていたんです」

「ああ、俺も聞いて驚いたよ」


 美恵はホッとした表情を浮かべた。


「何も心配する事はない。でも、ちょっと驚くかもしれないな」

「何をですか? 」

「うん、まぁ…。それは、本人から聞くのがいいかな」

「え? なんですか? それ」


 一樹は笑ってごまかした。
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