空白の夜
「なんか、今日のはちょっとしょっぱいな」
連日の残業で、少し疲れているだけだろうと思った。
朝の通勤ラッシュに揉まれ、終わりの見えない仕事を淡々とこなす日々。自分は一体誰のために、何のために働き続けているのか分からなくなっていた。
気がつくと既に陽は沈んでいて、オフィスには自分一人しかいない。
今日一日の疲労が混じった大きな溜め息を吐き、スマホに目をやる。画面に映る四つの白い数字は、日を跨ぐ一時間と十三分前である事を示していた。
「もうこんな時間か、、、帰ろう」
やりかけのデータを保存してパソコンの電源を落とし、帰り支度を済ませてオフィスを後にする。