秘密の恋はアトリエで(後編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
コーヒーを一口飲み、靱也は続けた。
「行く当てはなかったけど、とにかく翌日片道のチケットを買って、着の身着のままで新幹線に飛びのったんだ。なんで京都にしたのか忘れた。まあ、大して理由があったわけじゃなかったと思う。
でも、行ったはいいけど、土地勘のない所だし、一日中闇雲に歩きまわってさ。夕方、疲れ果てて橋のうえでぼうっと川を眺めてたとき、男の人に声をかけられたんだ」
靭也が夏瑛の手を探る。
夏瑛は話の先を促すように、その手を、握り返した。
「行く当てはなかったけど、とにかく翌日片道のチケットを買って、着の身着のままで新幹線に飛びのったんだ。なんで京都にしたのか忘れた。まあ、大して理由があったわけじゃなかったと思う。
でも、行ったはいいけど、土地勘のない所だし、一日中闇雲に歩きまわってさ。夕方、疲れ果てて橋のうえでぼうっと川を眺めてたとき、男の人に声をかけられたんだ」
靭也が夏瑛の手を探る。
夏瑛は話の先を促すように、その手を、握り返した。