秘密の恋はアトリエで(後編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 そんな話をしながら、会場の中庭に向かっている途中で「原田さーん」と声をかけられた。

 北川だった。

「なんか沢渡が探してたよ。別館に来てほしいって」

「えっ、ほんと?」

「ああ、急ぎの用みたいだったよ」

「わかった。ありがとう」

 北川はじゃあ、と行って校舎の方に走りさった。

 横目でちらっと見ると、美岬はおおげさにため息をついてから

「へいへい。行っといで。当然、友だちより恋人優先でしょ」

「ごめん。用事すんだらステージに行くから」

「オッケー」

 夏瑛は拝む真似をしながら、その場から立ち去った。
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