秘密の恋はアトリエで(後編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて

2)

 ふだんも人気(ひとけ)がない別館だが、今日はさらに物寂しさが増していた。
 ここだけは大学祭のにぎわいから取り残されている。

 でも急用ってなんだろう。
 少し変だなと思いながら、夏瑛はアトリエの扉に手をかけた。

「靭……」

 けれど、そこにいたのは靭也ではなく、北川だった。

「えっ? なんで」

「やっぱり沢渡の名前を出せば一発だな。原田さんだけは、あんな男にひっかからないって思ってたのに」

いったいどういうこと……

 夏瑛の戸惑いをよそに、北川は話を続けた。

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