好き、だけど、分からない。
1章

卒業の日。

ー 卒業、おめでとう。


先生の低く、どこか悲しそうな声が耳に響く。


涙で前が見にくいけれど、


確かにここは、私の通っている中学校の体育館で


確かに私は、今この瞬間卒業の時を迎えている。


昨日まで、式中に寝ないか、立ったり座ったりの


動作を間違えないか、沢山不安な事が私を


襲っていたのに、最早今はそんな事を考えては


いられない。


大切な場所、大好きな場所。


皆と出会えたこの思い出の詰まった中学校を


卒業するなんて…。


ついさっき入学したように思える位、時間は


あっという間に過ぎていってしまって、


なんだか時間に置き去りにされた気分。
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