似たものどうし
新しい制服に袖を通して、感じたことのない風を
体いっぱいに感じて歩く。
 

東京って冷たい。


都会ってこんなに人がいるのに温もりの一つも感じられない。


田舎かの静まりかえった朝も


無人駅の改札をズルしてのる電車もここにはない


みんながどこか生きるのに必死で息苦しささえ感じる。


私はずっと地元にいたかった。


保育園からいや、生まれた時から一緒だった友達とも離れ離れみんな大人になればここを出るんだからなんて言うけど私は出たくなかった。


別に都会の生活が嫌いなんじゃなくて単純にあの場所が好きだった。


空気も水も綺麗で澄み渡るような空が見えて


夕方の夕日も夜の星も町内のお祭りも


大好きだった。


それなのに父の仕事の関係で東京に出るなんて、どうせなら父だけで行ってくれればいいのになんてかわいそうで言えなかった。


きっとうちの家族はみんな今頃戸惑ってるだろう


父は新たに配属された大きなビルの中へ


母は新しいスーパのパート


弟は転校先の中学校へ


そして私も転校先の高校へ


あー、弟よ


ちゃんと自己紹介できてるかい??


私はできそうにもないよ。


人っていう字を三回も書いたのに全く効果ないじゃん!


もー嘘ばっか!


出来るだけ目立たずに卒業まですごせますように



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