この男、危険人物につき取扱注意!
「な、なんで…その事…」
「俺が働いてる会社会社はIT企業ってやつでな!
勿論、俺もコンピュータ関係にはそれなりに強い。
ちょっと調べれば、お前の父親の会社の内情や業績くらい調べられる」
(えっ!?
パパの会社のシステムに、侵入したの!?
まさかウイルス仕込んだんじゃ…!?)
「それ犯罪じゃない!!」
「バレなきゃ捕まらない。現に、お前の優秀な兄貴も気付いてないだろ?
気付いてたら、とうに被害届出してるだろうからな?」
「バレなきゃって、パパの会社に何したのよ⁉︎」
「パパ?
その歳でまだパパか?
フッ…それじゃ兄貴達も過保護になるわけだ?」
「煩い!
私が、パ…父親をなんと呼ぼうと、あんたには関係ないでしょ!?」
「確かに、俺には関係ない。
だが、恩人の篠原先生の為に、お前に一つだけ助言してやる!
運命は、自分次第で変えられる。
そして、自分の人生《みち》は自分で切り開くものだ」
(自分次第で変えられる…?
人生《みち》は自分で切り開くもの…)
「このままでいたら一生このままだぞ?
負け犬にはなりたくないだろ?」
男は、篠原教授に「これで失礼します」と頭を下げた。
そして、帰り際千夏に向かって「内情を調べたからってどうこうするつもりも無いし、興味もない。心配するな」と言い、千夏の上着のポケットに名刺をさしいれ男は帰って行った。