この男、危険人物につき取扱注意!
『それが…よく分からなくて…
組長さん突然怒り出しちゃって…』
(あのクソ親父が…)
『あなたがまた何かしたのでは?』
『いえ、なにもしてませんよ?
お互い顔見て食べた方が美味しいと思って、お膳を組長の向かいに動かしただけです』
「あ…あの仏壇に尻は…
だ、だからって、うさぎを泣かせて良い訳じゃ無い!」
『…なんてバカな事を…』
『え?
ナニかいけませんでした?
何がいけなかったか、坂下さん教えて下さい!』
『あなたが組長の前に座ったと言う事は、仏壇に尻を向けた事になります。
組長は、亡くなられた若のお母様を今も愛しておられます。そして、いつも御仏前の写真と会話しながら食事をされてるんです』
「まさか…お袋と…」
『…私、なんて失礼な事したんでしょ?
どうしたら許して貰えるでしょ?』
『そんな事、私に聞かないで自分で考えて下さい!
あなたのミスなんですから!
どちらにしても、誠意を持って謝罪するしか有りませんね』
「あの糞親父め!
泣かせなくても、教えてやりゃー良いじゃぇか⁉︎
うさぎは何も知らなかったんだからよ!」
『これは独り言ですが…
奥様はとても花がお好きな方で、御仏前にも良く庭の花を供えられたりしてましたね』
(ああ、花好きだったよな、お袋…
いつも庭にいて…花に話しかけてたっけ…)
春樹は当時を懐かしむ様に庭を見つめた。
(学校から帰ってくると、庭から話し声が聞こえて来て誰と話してるのかと思って近づくと、花と喋ってたもんな…)
『坂下さん有難う!
やっぱり、私の事大好きなんですね?
私も大好きですよ!
ハグしたいけど、急ぎますから!』
(な、なぬっ!
大好き⁉︎
ハグしたい…
坂下が…うさぎを…うさぎも…)