この男、危険人物につき取扱注意!
「坂下…俺はうさぎを手放すべきなのか…?」
「…若…この際はっきり気持ちを伝えては如何ですか?」
「…今更…言えるわけないだろ!」
「しかし、このままでは…いずれ手放す事になりますよ?」
「そんな事…お前に言われなくても分かってる!」
「腹黒蛇組若頭ともあろうお方が、女ひとりにこうも振り回されるとは…
百戦錬磨と言われた方が…」
「お前がいけないんだからな!
もっと威厳を待てだの男は凛々しく在るべきなんて言うから…」
「それは、極道の世界での事です!
好きな女の前で同じ様に居ろとは私も言いませんよ」
「何処で間違えた…」
「初めからでしょうね?」
「おまっ…だよな…」
頭を抱える春樹に、坂下までもが頭を抱えた。
「もぅ…初めからやり直したらどうです?」
「…初めから?」
「はい。
ちゃんと告白して、プロポーズするんです!
幸いな事に、まだ指輪贈って無いじゃないですか?
結婚に憧れを持って居られる千夏さんなら、プロポーズの仕方にも何か憧れがあるのではないでしょうか?
」
「プロポーズの仕方…?」
外国の人はプロポーズする時、指輪を用意してプロポーズするってテレビでやってましたよ?
ここはドーンとびっくりする様なデカイダイヤの指輪なんてどうです?」
「指輪…デカイ?
でも、うさぎがデカイダイヤなんて…喜ぶか?」
「じゃ、一緒に買いに行ったらどうです?
千夏さんの体調が良くなったら、帰りは足を延ばして箱根の辺りで一泊?」
一緒に指輪を選ぶ…
うさぎと箱根で一泊…?
千夏が寝てる隣の部屋では、春樹と坂下の密談が行われていた。
そして、玄関先に家具屋のトラックが到着していた。
家具屋の到着を春樹に知らせようと、廊下をバタバタと走って来た。
「失礼します!」
「静かにしろ!」と睨みを効かす春樹に、拡は肝が縮む思いだった。
「す、すいません…」
先程注文したベッドの配達に家具屋が来たと言うのだ。
(随分早かったな)
「この部屋に案内してくれ。隣で病人が寝てるから静かに運ぶ様にとな!」と、言ったのは坂下だった。
「はい」