この男、危険人物につき取扱注意!
今迄笑みすら見せていた春樹だが、所坂の様子を不審に思い眉間に皺を寄せ威圧感丸出しで「何か不都合でも?」と、聞いた。
春樹のあまりの威圧感に所坂は何も答える事が出来なかった。
「拡、大丈夫なんだよな⁉︎」
坂下は声を強めて拡に確認した。
「はっはい!」
「余程居心地が悪いようですね?
なんなら、後は私どもでやりますが?」と春樹は微笑みすら見せ聞いた。
所坂は春樹の言葉にブルブルと首を振ると、慌てて部下へ指示を出し作業にかかった。
30分程が過ぎた頃、確認作業の為か所坂はベッドの周りを一周すると、ホッと胸を撫で下ろした。
「組み立ては以上になります。
キズや、不具合が無いかご確認をお願いします」
坂下は目を細め、ベッドの隅々柱の上から下へとキズ一つ見逃さない様にと見つめ、そしてマットレスの縫い目まで確認していた。
その間、所坂は拳を握り固唾を飲んで待っていた。
「暑い中ご苦労様でした。
喉も乾いてる事でしょうから、母屋で冷たいモノでも?」
坂下の申し出に、所坂はブルブルと首を振り仕事が残ってるからと断った。
「ぁ…置く場所は何方にします?」
「後はこちらでやりますから、もう結構です」
「そ、そうですか?
それでは失礼します。ありがとうございました」
所坂達は慌てて梱包材を抱え、拡の後に着いて帰って行った。
「若、この辺りでどうですか?」
「ここは日が当たりすぎる」
「じゃ、こちらの奥に?」
「いや、ここはエアコンの風が直接当たるから良くない」
「じゃ、こっちにしますか?」
「…そうだな」
ベッドの置き場所が決まると、二人してベッドの下へと潜り込み、盗聴器の有無とボルトの間違いや緩みが無いかを説明書を見ながら一つ一つ確認した。
「若…」
「ああ、分かってる…お前も欲しいだろ?」
「分かってるなら…早く若のを下さい…」
「もう少し声を抑えろ、うさぎが目を覚ます」