この男、危険人物につき取扱注意!
見た事もないダイヤの輝きに魅了されていると、店長は千夏の目の前へとケースを動かした。
(綺麗…こんなに大きいダイヤ初めてみた)
「お急で無ければ、もう少し上のランクのモノをご用意させて頂いたのですが…
なにぶんお急ぎとの事でしたので…
この様な小さな物しかご用意出来ませんで…申し訳ありません…」
(え…これで小さいの?ってかこれ以上に凄いモノがあるの?
でも、そんなに急いでたの?)
「いいえ、こちらこそ無理を言って申し訳なかった」
「とんでもございません。いつもお世話になってる腹黒蛇様のためでしたら…」と言って店長は美しく微笑んだ。
(ぅわ…笑顔も素敵。
女の私でも惚れてしまいそう…
美しい物を相手にしてると、あんなに美しく微笑んだり出来るんだ…?
女の格を感じる…
でも、誰のために無理を言ったの?って坂下さんの為に決まってるか!)
「…チーフ、これって本物ですよ…ね?」
千夏は口元に手を添え、春樹の耳元へと囁いた。
「ああ、勿論本物だ」
(…ですよね?
売ってるって事は…
これを買う人がいるって事…)
分かっていたとはいえ、あまりの貧富の差に千夏は溜息をもらした。