この男、危険人物につき取扱注意!

見た事もないダイヤの輝きに魅了されていると、店長は千夏の目の前へとケースを動かした。

(綺麗…こんなに大きいダイヤ初めてみた)

「お急で無ければ、もう少し上のランクのモノをご用意させて頂いたのですが…
なにぶんお急ぎとの事でしたので…
この様な小さな物しかご用意出来ませんで…申し訳ありません…」

(え…これで小さいの?ってかこれ以上に凄いモノがあるの?
でも、そんなに急いでたの?)

「いいえ、こちらこそ無理を言って申し訳なかった」

「とんでもございません。いつもお世話になってる腹黒蛇様のためでしたら…」と言って店長は美しく微笑んだ。

(ぅわ…笑顔も素敵。
女の私でも惚れてしまいそう…
美しい物を相手にしてると、あんなに美しく微笑んだり出来るんだ…?
女の格を感じる…
でも、誰のために無理を言ったの?って坂下さんの為に決まってるか!)

「…チーフ、これって本物ですよ…ね?」

千夏は口元に手を添え、春樹の耳元へと囁いた。

「ああ、勿論本物だ」

(…ですよね?
売ってるって事は…
これを買う人がいるって事…)

分かっていたとはいえ、あまりの貧富の差に千夏は溜息をもらした。





< 144 / 190 >

この作品をシェア

pagetop