この男、危険人物につき取扱注意!
慌てて駆け寄る千夏に、坂下は春樹に何かあったのか動揺した。
「どうした⁉︎
若に何かあったのか⁉︎」
何事かと動揺を隠しきれない坂下に、千夏はただ「一緒に来て下さい!」と言い、坂下の腕を掴み無理やり店の中へと連れ入った。
千夏は坂下を連れ春樹の待つ部屋へと戻ると、つい先程まで自分が座っていた椅子を引き坂下に座る様にと言った。
突然現れた強面の男の出現に店長の顔からは笑みは消え、春樹もまた驚いていた。
一方の坂下は春樹の無事な姿に安堵すると同時に、何故自分が連れて来られたのか動揺していた。
「坂下さん、どれが良いと思います?」
「はぁ?」
「やっぱり、私じゃ決められなくて…
坂下さんの意見聞かせてもらえませんか?」
突拍子もない千夏の言葉に、そこにいる皆が驚いていた。
「あ、店長さん指のサイズ測るモノってありますか?」
「え、ええ。こちらに…」と店長は訝しげな表情を見せながらもリングゲージを出した。
「あ、それからこれだけ大きいダイヤだと私の指には重たすぎるので、普段はペンダントトップとして使いたいので、大きいリングで作って貰えます?
んーサイズは…そうねぇ…あ、坂下さんの指くらいが良いかな…」
(うふふ…これなら怪しまれないでしょ?
我ながら良く考えたわ)
千夏はそう言うと、坂下の指のサイズをリングゲージで測り「このサイズ、18号でお願いします!」と言った。
「………」
誰もが無言になる中、千夏だけは楽しそうにしていた。
「あ、チェーンも見せてくれますか?」
「…はい。
では、いま持って参ります…」
そう言って部屋を出て行こうとする店長を千夏は呼び止め、トイレを貸して欲しいと頼んだ。
「はい。ご案内します」
「ちょっと行ってきますので、二人でゆっくり選んで下さいね!」
千夏の言葉に春樹達は唖然とするばかりで、言葉を失っていた。
そんな二人を置いて、千夏は嬉しそうに部屋を出て行った。