この男、危険人物につき取扱注意!
「千夏、もう辛い思いしなくても良いだろ?
お前言ってたじゃん?
同僚から必要とされてないかもしれないって?
お前を必要として無い職場なんて辞めちまえよ?」
(私は必要無かった…?)
兄達の言葉に、悔しさで千夏の胸は潰れそうだった。だが、これ以上涙を溢さないように、千夏は唇を噛み拳を握りしめていた。
「わたし…必要ないの?」
「ここは千夏が居なくても良い場所だ。
さぁ、皆んなが待ってる帰ろう?」と琢磨は言うと、下を向いてる千夏の背中に手を添えた。
そして、琢磨に背中を押されるまま千夏はドアへと向きをかえた。
「ちょっと待って下さい!」
踏み出そうとしていた千夏の足を止めたのは木ノ下の言葉だった。
「DOY《ここ》には、必要の無い人間なんて一人も居ません!
うさぎ…小野田、お前の代わりなんて居ない。
お前は、本当に皆んなに必要とされて無いと思ってるのか?
もし、そう思ってるなら、必要とされる人間になれ!
それが社会人だろ⁉︎
お前の望んでいた人生を自分で切り開け!」
「腹黒蛇さん、もうこれ以上千夏を苦しませないで下さい。千夏は貴方とは違うんです。千夏は私達家族で幸せにしますから!」と琢磨は言うと、千夏を護るように肩を抱いた。
「…では…後10分だけ、10分だけ私に時間をください!」
木ノ下はそう言うと、千夏の同僚に会って欲しいと琢磨達達に頼んだのだ。そして、千夏への思いを同僚から直に聞いて欲しいと言った。
「小野田、どうしても辞めると言うなら、もう止めはしない。だが、互いをどう思って居ようと一緒に働いて来た仲間だ。最後くらい自分の言葉で辞める理由をあいつらに伝えて行け!」