この男、危険人物につき取扱注意!

(一緒に働いてきた仲間…?
確かに一緒には働いて来たけど…
仲間と言える程…
私はここに必要だったと言えるだろうか…
辞めると言ったら…
同僚(みんな)はどんな反応するだろう…
やっぱり喜ぶかな…ウザイ(やつ)が居なくなるって…
それとも…一人か二人は…
怖い…
でも確かな事は、私はこの仕事が好きだったって事…
同僚からなんと思われ言われようと…
好きだったから、陰口を叩かれようと冷たい視線を向けられようと今日まで頑張って来れた。
でも…同僚(みんな)が喜ぶ顔は見たくない。
やっぱり怖い…)

「おい、あんたいい加減にしろよ⁉︎」


悩む千夏をよそに、信二は噛みつく勢いで木ノ下の前に出た。


(でも…どんな結果が待っていようと、逃げるのだけは嫌。
チーフの言う通り最後くらい自分の言葉でケリをつけるのが良いのかもしれない。
次の人生(みち)を歩く為にも…)

「…琢兄…信兄…
木ノ下チーフ…社長の言う通り最後くらい自分の言葉で挨拶した方が良いと思う…」


千夏の思いに信二は反対したが、琢磨は最後くらい千夏の好きな様にさせてやると言って、木ノ下を先頭に副社長を出て5人は一緒に4階まで下りた。

だが、各部署関係者以外立ち入り禁止なのは千夏の部署も同じで、それも社員でも無い兄達を部署(へや)に入れるのはやはりまずいと思った千夏は、琢磨と信二に部屋の前で待って居て欲しい言うが、木ノ下は構わないと言った。

「でもチ…社長」

「うさぎ、彼等が会社(うち)で非合法で得た情報をどうこうするほど馬鹿じゃ無い事くらい俺も知ってる。だから、心配しなくても大丈夫だ。それとも、うさぎは自分の兄さん達を信用できないか?」

(お兄ちゃん達がそんな事するなんて思ってない。でも…)





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