極上弁護士の耽溺プロポーズ
柊一くんはわたしと椎葉さんを交互に見た。

鋭い視線に、反射的に鼓動が速くなる。

何か隠していることがあるのかと怪しまれただろうか。

でも柊一くんはすぐに平然とした顔で軽く頷いた。

わたしは不可解な目で見つめる椎葉さんの腕を引っ張りながら、部屋の奥へと向かう。

「一体何ですか?」

応接室のドアを閉めた途端、椎葉さんは面倒臭そうに声を歪ませた。

「あの……彼のことなんですけど……」

わたしが話し始めるとすぐ、椎葉さんは首を傾げた。

わたしは繰り返して言う。

「……わたしの元カレのことです」

「ああ、あの彼ですか。どうですか、その後彼は元気にしていますか」

にやりと悪そうな笑みを浮かべた椎葉さんに、わたしは畳み掛けるように声を上げた。
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