極上弁護士の耽溺プロポーズ
「ではここからはお二人でどうぞ。私はお先に失礼します」

「……椎葉、お前は本当にあくどい奴だな」

柊一くんは辟易したような顔で舌打ちをしたけれど、椎葉さんはまるで賛辞を呈されたかのように嬉しそうに笑いながら、事務所から出て行った。

一体……何がどういうことなのだろう。

残されたわたしと柊一くんは、呆然と立ち尽くす。

なんだかバツが悪そうな顔の柊一くんを見つめると、柊一くんはすぐに諦めたように深い溜め息をついた。

「……柊一くん?」

「……知っていたんだよ」

「……え?」

わたしは話が見えず首を捻った。

「俺は椎葉が何をしていたか、全部知っていたんだ」

「……うそ……!」

反射的に声が震えた。
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