極上弁護士の耽溺プロポーズ
「……なら光希、今付き合ってる奴は?」

「……なあに、それ。知ってるでしょ。それくらい。彼氏なんてできたためしないよ」

こんなことは胸を張って言えないけれど、わたしは生まれてこのかた、恋愛とはかなり縁遠い生活をしてきた。

興味がないわけじゃないけれど、特別に好きだと思った男の人はいないし、今でもまだ恋をするということがよくわからないのだ。

だから記憶がなくても、今も彼氏なんていないと断言できる。

「……」

けれど柊一くんは言葉に詰まったように黙り込んでしまった。

「柊一くん、ちょっと変だよ。なんだか怖い。どうしちゃったの」

よくわからないことばかり訊いてくる柊一くんに、わたしは戸惑いを隠せなかった。

すると柊一くんは重苦しい声で囁いてくる。

「……光希は今、付き合ってる奴がいるぞ」

わたしは一瞬、きょとんとしてしまった。

けれどすぐに目を瞠り、ありえないくらいうろたえて、柊一くんの腕に掴みかかる。

「え! 嘘! わたしが忘れてる一年間にってことっ?」

まさかわたしは今、初めてできた恋人のことをすっかり忘れてしまっているというのだろうか。

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