極上弁護士の耽溺プロポーズ
「いっ、いいよ! 自分でできるから!」

わたしはドライヤーを柊一くんの手から奪って、ドレッシングルームへ駆け戻った。

大きな鏡に映った自分の姿を見ると、その顔は明らかにお風呂に入ったからではない赤みを帯びて火照っていた。

なにげない柊一くんの言動に、わたしは早くも頭がクラクラし始める。

こんな、恋人同士みたいなやりとりを、ほんとに……?

柊一くんの言い方がやけに自然だった。

まるで、当たり前のようで……。

髪はとうの昔に乾いているのに、わたしはいつまでもドライヤーを持ったまま、ドレッシングルームから出て行けずにいた。
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