極上弁護士の耽溺プロポーズ
「わ、わたし、疲れたから先に寝てもいい?」

しばらくしてリビングに戻ると、わたしは言葉につかえながらも口早に言った。

ゴクゴクと息もつかずにミネラルウォーターを一気飲みし、グラスをシンクに置く。

柊一くんは何か言いたげな顔をしていたけれど、
短くああ、とだけ頷いた。

「じゃあおやすみっ」

目も合わせずに、その場から逃げるようにゲストルームへ向かおうとする。

「おい、ちょっと待て。どこに行くんだ」

けれど柊一くんに呼び止められて、わたしはビクッと体を強張らせた。

「え? ゲストルームってこっちじゃ……」

「今まで俺の部屋で、一緒に寝てただろ」

「……え!」

「さっきの話、忘れたのならもう一回言ってーー」

「い、いい! 覚えてるから!」

言葉の続きを遮るように声を上げたわたしを、柊一くんはしばらくじっと見つめていた。

「それならちゃんと、俺の部屋で寝ておけよ」

「!」

動揺が最大値に達したわたしを残して、柊一くんはバスルームに消えていった。
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