極上弁護士の耽溺プロポーズ
「ああ、そうだな。近いうちそうするよ」
おざなりに言い返す柊一くんに、椎葉さんは不愉快そうに畳みかける。
「最近所用だなんだとまともに仕事をしていなかった先生が悪いんですよ。あと昨夜、裁判の準備書面の提出期限が迫っていると催促のFAXも来ていましたよ」
「そんなのは椎葉がやっておいてくれ」
「……」
わたしがふたりのやりとりにぽかんとしていると、柊一くんはネクタイを整えながら申し訳なさそうに振り返った。
「光希すまない、そういうことだから、今日何時に帰れるかわからない」
わたしは慌てて首を横に振る。
「気にしないで」
柊一くんにここに住めと言われたけれど、そんなふうに気を遣ってもらう立場ではないと思った。
それに仕事が詰まったのはきっとわたしのせいだ。
わたしが病院にいる間、柊一くんは毎日お見舞いに来てくれていたのだ。
「じゃあ、行ってくる」
「う、うん」
さすがに意識しすぎだと自分でも思うけれど、にっこり微笑まれると心臓が跳ねた。