極上弁護士の耽溺プロポーズ
その夜、柊一くんが帰ってきたのは二十三時を過ぎた頃だった。

エントランスまで出迎えに行くと、柊一くんはうれしそうに微笑んだ。

「せっかく光希がいてくれるのに、これじゃ意味がないな」

そう言いながら柊一くんが差し出した手には紙袋が提げられていた。

中身はリンゴジュースだ。

大きな瓶が三本も入っている。

仕事が詰まっていても昨夜の些細な約束を覚えてくれていたことに、わたしは少しうれしくなった。

顔を綻ばせたわたしを見て、柊一くんも同調するようににっこり笑った。

その笑顔に、わたしは不覚にもドキドキしてしまう。

「光希、晩ごはんはどうした?」

「う、うん、まだ」

「そうか、すまない。何かデリバリーでも頼むか?」

「柊一くんは食べたの?」

「いや、まだだ」

「じゃあ一緒に食べようよ。わたしごはん作ったんだ」

わたしはキッチンに向かった。料理はすっかり冷めてしまっていた。

「おなか空いたでしょ? ちょっと待ってね、すぐチンするから」
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