極上弁護士の耽溺プロポーズ
食事の最中、柊一くんの顔色を窺っていると、疲れている様子もなく機嫌が良さそうだった。

そのことに勇気づけられてわたしは話を持ちかける。

「あのね……、わたしやっぱり早く仕事に復帰したいんだけど……」

正直、今日一日ここで掃除に洗濯、炊事と忙しく動いていたけれど気が休まらなかった。

やっぱり他人の家にひとりでいるのは落ち着かない。

それに一過性の記憶喪失なら、普段通りの生活を続けているほうがいいと思った。

仕事に追われているうちに、自然に思い出すはずだ。

「光希はまだゆっくり休まないといけないよ」

けれどやんわりはね返されて、わたしは肩を落としてしまう。

柊一くんはやっぱり、この件になるとやけに頑なになる。

「じゃあわたし、自分の家に帰りたいよ。わたしの部屋の鍵、まだ柊一くんが持ってるよね?」

わたしのマンションの鍵は、入院の準備をしてもらったときに柊一くんに預けたままだった。

それで今日、柊一くんが勝手に手配したわたしの荷物が届いたのだ。

今さらながら、かなり強引ないきさつだと思う。

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