極上弁護士の耽溺プロポーズ
それでもその夜も、わたしは逃げるように先にベッドに入った。

心では少しずつ柊一くんとの関係を受け入れようと思い始めているのに、体は言うことを聞かない。

わたしにはまだ一緒のベッドで寝るだけで精一杯だった。

そういえばここはマンションの高層階なのに、わたしはまともに夜景を見ていなかった。

柊一くんと恋人同士になってから、このベッドのルームで、高層ビル群や街灯り、車のライトなどの景色を一緒に眺めていたのだろうか。

妄想がむくむくと膨れ上がってきて赤面した。

案の定目が冴えて昨日と同様に眠れなくなる。

きっと柊一くんのベッドには邪念を抱かせる何かが取り憑いているんだ。

ひとりで息巻いていると、カチャリとドアが開いた。

落ちそうなくらいベッドの端に寄って寝そべるわたしの真ん前に柊一くんが跪く。

そっと、顔を近づけてきた。

わたしは一瞬で体が強張って、後ろにはいくらでもスペースがあるのに後退できなくなった。

鼻先五センチのところに柊一くんの顔がある。

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