極上弁護士の耽溺プロポーズ
「……おやすみ」

目を合わせてそう囁いて、柊一くんはわたしの頭を自分の胸に倒した。

「……っ」

その瞬間柊一くんの鼓動がダイレクトに伝わってきて、わたしは息が詰まった。

規則正しい心音を聞いていると、愛しさが込み上げてくるような胸の疼きを感じた。

わたしは自分の胸元を鷲摑みにして、激しい動悸を抑えようとする。

心の奥にある記憶がこんなにドキドキさせてるんだよね? 

この気持ちは変じゃないよね?

自分の中で混乱を起こしそうになる。

人の気持ちなんて割り切れるものではないのに、わたしは恋愛に疎いせいか、論理的に頭で理解できないと受け入れられなかった。

それなのに、柊一くんとの関係を肯定する気持ちが湧き上がってきて、うまく取り除けない。

「……柊一くん、……わたし、柊一くんとのこと……早く思い出すからね」

この消化不良を起こしそうな気持ちを鎮める方法は、全部思い出すことしかない。

わたしは柊一くんの胸に向かって囁いたけれど、柊一くんはもう眠ってしまったらしく、返事はなかった。

「……」

元通り、柊一くんを好きになりたい。

そう思い始めていた。
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