極上弁護士の耽溺プロポーズ
フラストレーション
翌日もわたしは柊一くんの事務所に向かった。

「あらあら、今日もご同伴ですか」

再び現れたわたしに、椎葉さんが満面の笑みで歩み寄ってくる。

「お、おはようございます……」

「ちょうどよかったです。あなたと話したいことがあったんですよ。今日一緒にランチでもどうですか」

「え？」

理由はわからないけれどあまり好かれていないと思っていた椎葉さんから誘われて、わたしは面食らった。

けれどそれをすぐさま柊一くんに遮られる。

「おい、椎葉、ちょっと来い」

しかめっ面で椎葉さんを促して、柊一くんは奥の部屋に向かった。

わたしは首を傾げると、とりあえず藤山さんのデスクに向かって指示を仰いだ。

そのままあれこれと手伝っているうちに正午になった。

今日は契約書案文の作成という、立派に役に立てる仕事ができて少し満足感を覚える。

< 55 / 119 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop