極上弁護士の耽溺プロポーズ
『繊維の買い付けに行ったんだけど、これがすごくて。またゆっくり聞いてね。光希はもう大丈夫なの?』
「うん、大丈夫。心配かけてごめんね」
『そっか、よかった! お医者さまも一時的なものだって言ってたもんね』
わたしはどう返すべきか逡巡した。
どうやらマリコはわたしの言った「大丈夫」を、記憶が戻ったという意味だと誤解したようだ。
安心したようなマリコの声に、わたしは本当のことを言い出すタイミングを失ってしまった。
『仕事はいつから戻るの?』
「週明けかな。あとで会社に電話しようと思って」
それは本当だった。
さすがにこれ以上は休んでいられない。
事故の日からもう十日近くが過ぎていた。
『じゃあ快気祝いしなきゃ! あ、てか今時間ある? あるなら会って話さない?』
「うん、ランチでも行く?」
『行く行く。わたし今空港で一旦会社に戻るから二時間後でどう?』
「二時間後ね、わかった」
記憶がまだ戻ってないことは、話の流れで言えたら言おう、とわたしは特に否定せずに電話を切った。
「うん、大丈夫。心配かけてごめんね」
『そっか、よかった! お医者さまも一時的なものだって言ってたもんね』
わたしはどう返すべきか逡巡した。
どうやらマリコはわたしの言った「大丈夫」を、記憶が戻ったという意味だと誤解したようだ。
安心したようなマリコの声に、わたしは本当のことを言い出すタイミングを失ってしまった。
『仕事はいつから戻るの?』
「週明けかな。あとで会社に電話しようと思って」
それは本当だった。
さすがにこれ以上は休んでいられない。
事故の日からもう十日近くが過ぎていた。
『じゃあ快気祝いしなきゃ! あ、てか今時間ある? あるなら会って話さない?』
「うん、ランチでも行く?」
『行く行く。わたし今空港で一旦会社に戻るから二時間後でどう?』
「二時間後ね、わかった」
記憶がまだ戻ってないことは、話の流れで言えたら言おう、とわたしは特に否定せずに電話を切った。