極上弁護士の耽溺プロポーズ
「……弁護士秘書さんか」

「え?」

「これは何かの偶然?」

「?」

首を傾げると、マリコはためらうような素振りをみせながら囁いた。

「光希の元カレのことだよ」

まるで知らない外国語のように聞こえた。その言葉に、わたしは瞬きを忘れてしまう。

「……元カレ……?」

そう口を動かすと得体の知れない胸騒ぎがして、手が震え出した。

心臓が早鐘を打ち始め、混乱に襲われる。

わたしに元カレなんて、存在しないはずだ。

「ちょっと待って。まだ付き合ってるなんて言わないよね? あんな男は光希にとってもう過去の男だぞ」

マリコは「元カレ」と言ったことにわたしが納得していないと勘違いしたようだった。
< 77 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop