極上弁護士の耽溺プロポーズ
何も言わずにいるわたしにマリコは続ける。

「あの男は二股かけてたんだからね」

念押しするように凄むマリコの声がわたしの体を上滑りして、中に入ってこない。

無意識にこれは聞いてはいけない、思い出してはいけないと、心が拒んでいるようだった。

「しかもその上えげつない話だけどね、あの男、今は光希の後輩じゃなくて別の女に夢中らしいよ。その相手がなんと、弁護士秘書なんだって」

「……弁護士秘書?」

「そう」

心が乱されて、まともに考えられなくなった。

弁護士秘書は、世の中にたくさんいる。

きっと椎葉さんはなんの関係もない。

けれどなんとか平静を取り繕おうとストローを口に運んでも、液体ですら喉に支えて飲み込めなかった。
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