極上弁護士の耽溺プロポーズ
「じゃあどうしてなんだよ⁉︎」

「……これしか方法はなかった」

「これしか方法がない? 意味わかんないよ……!」

「……光希が記憶を失くしている間に俺が恋人だったと名乗れば、光希は俺を男として見てくれるだろ」

柊一くんは歯痒そうに唇を噛んだ。

柊一くんの言っていることが理解できなかった。

こんなときですら射るように見つめてくる柊一くんに、煮え切らない気持ちが湧き上がってやり切れなくなる。

「光希は友情と愛情を明確に線引きしていて、俺相手に恋愛感情は持たないんだ」

まるで燃え尽きたように声を落として、柊一くんは囁いた。

「……そんな……わたしが柊一くんを好きにならないって……どうして決めつけるのっ……」

「決めつけじゃない。子どもの頃から光希と過ごしているうちに、嫌というほど骨身に染みさせられたんだ。光希は今も、俺を兄のようにしか見ていない」

「そんなことないっ……! 嘘つくくらいならっ、普通に言ってくれたらよかった……!」

「……無意味だ。だからそれなら……一生叶わないくらいなら、嘘をついてでも、記憶が戻らない短い間だけでも――刹那でもいいから、俺のものにしたかった」

「……!」
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