極上弁護士の耽溺プロポーズ
「こんばんは」

「……こんばんは」

椎葉さんはわたしの隣に腰掛け、ジンライムを注文する。

「話ってなんですか……」

カクテルが来ると、わたしはすぐさま椎葉さんを急き立てた。

無駄話ができる状態じゃなかった。

「先生がね、使いものにならないんですよ。まるで腑抜け状態です」

呆れたように口にした椎葉さんに、わたしは顔を強張らせる。

「……そんなのわたし、関係ないです……」

「関係ないことはないでしょう。あなたが原因のはずですよ」

「わたしが原因っ……? わたしが悪いんですかっ……? わたしは柊一くんに、恋人だったなんて嘘をつかれてたんですよ……!」

思わず激高してしまったわたしに、椎葉さんは平然と頷いた。

「ええ、知っていますよ」

「……え?」

「あなたが記憶を失くしていると聞いたとき、なんだか腑に落ちなかったので先生を問い詰めたんです。先生も捨て身ですよね」

苦笑しながら椎葉さんは続ける。

「騙されるあなたも相当間抜けだと思いますけど」
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