極上弁護士の耽溺プロポーズ
椎葉さんはわたしの態度が腹に据えかねたように、強い眼差しを向けてきた。

「私には自分だけ被害者面をするあなたのほうが、思いやりがないように感じます」

柊一くんのつらそうな顔が頭の中に浮かび上がって、わたしは胸が張り裂けるように痛くなった。

何ひとつ言い訳をしなかった柊一くんに、わたしは全部責任を押しつけようとした。

柊一くんのことを好きだと思ったのは自分自身で、柊一くんに無理強いされたわけじゃないのに――。

柊一くんはいつでも優しくて、いつでもわたしを気遣ってくれた。

それなのにわたしは、たったひとつの嘘も許せずに、柊一くんを顧みなかった。

柊一くんを思いやれなかった。

「……っ」

急激に後悔が押し寄せてくる。
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