サクラサク
8年目、冬
それから五年が経った。
わたしはまた待っている。
あの男を。
「悪い、遅くなった」
「遅いよ、和也」
待ってる場所は同じ場所。
だけどこれから向かうのは今まで一度も行ったことのない場所。
「遅くなってごめんね、健」
それは健の名前が刻まれた石の前。
一人じゃ怖くて、別の場所でずっと待つことしかできなかった。
でも、一人じゃないから。
怖くても進めるんだ。