続・最後のキスが忘れられなくて
カナダでの生活から90日後に帰国した。

そのまま就活を開始し

ひたすら求人に応募、テストと面接、職場見学、不採用の繰り返しを味わい

10月から就業スタートできる派遣契約を獲得できた。

派遣法の法令により向こう最長３年間は更新可能である。

周一がこんなことを言った。

「よし、３年契約の恋人といこうじゃないか。」

「マジで言ってるの？」

「元恋人から契約恋人に、ダメか？」

「呆れた。」

「３年後はどこ？またカナダ？」

「まだ決めてない。」

「だろうと思った。」

「たぶんニュージーランドになるかも。」

「当てがあるとか？」

「うん。」

「そっか。前にも言ったけど、俺は待たないし、待てない。」

「うん。でもまた会ってくれるでしょ？」

「会うって言っても毎月１回だろ？それに３ヶ月で帰国して再就活って。」

「そうよ。」

「なんか、バタバタして忙しいと思うけど。」

「落ち着かないって意味？」

「ま、良菜がいいなら俺は別に。」

「最初は現地ですごく楽しく過ごせるけど、しばらくするとやっぱり恋しいと思うようになるから。」

「へぇー、恋しいってもちろん俺のことだよな？」

「えーっとね、それもあるし。」

「歯切れが悪いな。」

「もちろん、周一のことよ。」

「俺が言わせたみたい。」

「そんなことないわよ。実際、そう思ってます。」

「じゃ、良しとするか。」

離ればなれになった時間が長いと

会った時の想い合う時間が濃くなるのは自然なことであり

遠い場所で一人でいる時に感じた切ない気持ちが増幅されて

つい求める手が強くなってしまうことも当然であり

そんな感情が伝わるのかどうか不思議に思えて

周一は会うといつも私のすべてに忠実に応えてくれていた。

だから私も正直になれる自分をさらけ出して彼に甘えることができた。

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