Love+War
母さんはトーク番組の収録中だった


撮影が一時中断すると母さんに水を持っていく


『お疲れ様でした』

「海彩、ありがとう」



母さんは礼王様とは比べ物にならないくらい抜けている
もちろん、仕事は完璧にこなすが基本人は信じて疑わないし
誰にでも笑って口説き文句スレスレの言葉を使う
しかも、歳が衰えてもどこからかフェロモン(?)が出てるからこの歳になっても狙われるのだ
側で見ていれば緑川さんや父さんがやきもきするのが分かる




「あ、瑠璃ちゃんさっき気が付いたんだけど、ルージュの色変更されてて可愛い。似合ってるね」

「わー!湊さんって本当に気がつきますよね
同性なのに惚れちゃいそう…」

『…母さん、変な誤解を生みますので誉めるときはもう少し厭らしくない言い方で』

「?」


女は少しの変化に気がついて褒めてもらいたいものだ
母さんはそのセンサーが付いているのだが
あまりに気がよくつくものだから
男性ではなく女性からの支持が多いのだ


訳がわからない





「海彩、それはそうと久しぶりだね」

『家には帰ってるんですが仕事が忙しいですものね』

「礼王君とはどう?」

『礼王様ですか?それはもう礼王様は麗しくお育ちになられて
寝顔は特に天使、いや神で毎日見てるのが生き甲斐でした』

「分かるなぁ、その気持ち。柊さんはいつも五月蝿いけど寝てるときは可愛いもんね
学校の勉強はどう?」


母さんはしきりに私の学園生活の話を聞きたがる
母さんにもそんな時期、あったと思うんだけど

役作りの為に最近の学園生活に理解を深めたいということか



『それはもう楽しく過ごせています』

「そっか。海彩は…ちゃんと学校行って恋をして友達と喧嘩なんかして仲直りするんだよ」



母さんは時折そんな事を切なそうに言う



『…』

「あと、海彩の好きなことをやればいいよ。やりたいことなら母さんも父さんもきっと応援するからね」

『…はい』




毎回疑問だった。何でいつもこんなこと言うのだろう


その時電話が鳴ってすぐ対応する




「海彩、ちょっと来てくれない
湊が撮影してる間に違うマネージャー寄越すから」

『わかりました。じゃあ、母さん』

「うん」
< 29 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop