Love+War
「バカっ、無理だって!」

『馬鹿はあなたです。侮られて悔しくはないのですか』

「だって私、ずっと点は取れなかったんですよ?
それに、何も特技がなくて」



また、言い訳ですか。本当に見苦しい


『私の父は社長の執事を勤めてるだけなのに
何故か何でも出来ました。執事なのに医師免許、調理師免許、危険物取り扱いまで
出来ないことはありませんでした
一方、母は子役時代から引っ張りだこの女優

しかし私は生まれながらにしても、どちらの才能も譲り受けませんでした
あまり表情が無いから母親似でもなく
賢くも無いから父親似でもない

それでも、言い訳をしたことは1度足りともなかった』

「は!?」

『礼王様は少しは親の遺伝子を受け継ぎましたがしかし、社交界に出れば親との比較ばかり

あなただってそうでしょう?
誰かと比較されるでしょう?違いますか』

「私だってやったもん!でも、何もできなかった!」



泣き崩れる風島を無理矢理寮に引っ張っていく




『泣いたって前に進むしかないですよ
クッキーが不味いなら美味しいと思えるまで作りゃ良いんです
誰だって挫折はします

でも、自分を見捨てたら終わりですよ』



風島は机に伏して泣いていた

鼻水を啜る音が静かな寮に響いた
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