白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
総長の隠し事

 自分の部屋に戻り
 家出用に用意した荷物を
 引き出しに戻していると。


 『ちょっといいかな?』と
 父さんが俺の部屋に入ってきた。


「十環くんに
 隠していたことがあってね」


「え?

 もしかして……
 俺を産んだ母さんのこと?」


「ごめん……

 美佐子が今どこにいるのかは
 まだわからないんだ。

 ずっと探しているんだけどね。

 僕が隠していたことは
 十環くんが毎日通っているTODOMEKIの
 龍牙くんのことだよ」


「総長?」


 父さんの口から
 総長の名前が出たことに驚いた。


 だって俺は家族の前で
 『TODOMEKI』も『龍牙さんの名前』も
 口にしたことがなかったから。


「総長が
 どうかしたんですか?」


「十環くんが中1だったから
 もう2年半以上も前になるかな。

 龍牙くんが最初にこの家に来たのは」


 総長が……

 俺の家に?

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