白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

 そんなこと知らない。


 総長からも
 聞いたことがない。


「総長は、何しに?」


「『十環くんをTODOMEKIに入れることを
 許可してほしい』って言いにね。

 その時に僕は
 十環くんの本当の親でないことを
 龍牙くんに伝えたんだよ。

 そしたらそれも踏まえて
 十環くんのこと面倒見るって
 言ってくれてね。

 TODOMEKIは暴走族って言われたから
 正直心配だったよ。

 十環くんをそこに行かせて大丈夫か
 母さんと悩みに悩んだ。

 でも、龍牙くんの瞳がまっすぐで
 この人になら十環くんを任せても
 大丈夫って僕は思ってね。

 お願いすることにしたんだ。

 それからも数か月に1回くらいかな。

 龍牙くんはこの家に来て
 TODOMEKIでの十環くんのことを
 聞かせてくれてね。
 
 『中学はなんとしてでも卒業させます』って
 来るたびに言ってくれるんだよ。

 十環くんは
 良い人に出会えてよかったね」


 そう言って
 父さんは俺の部屋を後にした。


 気づいた時には
 俺は総長に電話をかけていた。

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