白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
「TODOMEKIはさ
中卒からしか入れない。
それはさ
初代総長が決めてからずっと
守られてきたことでさ。
それを俺が、勝手に破ったわけ。
お前をどうしても
TODOMEKIに入れたかったからさ。
ある意味
俺のワガママみたいなもんじゃん。
で初代総長に怒鳴られるの覚悟で
言いに行った時にさ
言われたんだよ。
十環を入れるなら
親御さんを説得しろってさ。
お前が
親とうまくいってないって気づいてたからさ
十環に内緒で会いに行った」
「俺がTODOMEKIに
入るためだったんですね。
それについては納得できました。
でも、その後も
俺の親に会いに来ていたのはなぜですか?」
「それはさ……
お前の親御さんが喜ぶからだよ。
TODOMEKIでみんなと笑っている
十環の話をするとさ
すっげー嬉しそうに微笑むんだよ。
その顔見てたらさ
お前と親御さんとの溝みたいなものを
なんとか取りのぞいてやりたいなって
思えてさ。
俺は思うけどな。
十環の親御さんたちは
お前のこと大事に思っているって。
十環が親御さんを
拒否る気持ちもわかるけどさ
ちょっとずつでいいから
話しかけてやれば」
「そんな心配、いらないです」
「十環……
そんなこと言うなって」
「だって俺……
さっき父さんたちに伝えましたから」
「へ?」
「この家に、いたいって」
俺の言葉を聞いて
急に言葉を発しなくなった総長。
そしていきなり
耳をふさぎたくなるような大声が
受話器越しに響いた。
「十環!!!!!
お前、良かったじゃん!!」
「そうか、そうか」と
総長は跳ねるような明るい声で
連呼している。
反対に
なんか俺の心はムカムカしている。