白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
このムカムカの正体。
それは
俺だけ家族のことをさらけ出している
不平等感。
総長は
自分のことはあまり語らないくせに
俺の隠したい過去まで知りすぎているし。
俺は不愛想な声で
総長に言った。
「ずるいです。
総長は自分のこと
話したがらないのに。
俺の家族の問題には
ずかずか入り込んできて」
「なんだよ、十環。
そんなことでいじけんなよ」
「じゃあ、総長の隠し事も
何か俺に教えてください」
「はぁ~ わかったよ。
みんなには内緒にしてるから
絶対に言うなよな」
「はい」
「TODOMEKIの初代総長は……
俺の親父。
母親は、昔
レディースの総長やっててさ。
今でも昔の恨みで家族が襲われるかもって
思ってるらしくてさ。
子供の頃から
ありとあらゆる武道や格闘技を
やらされてたわけ。
俺ら兄弟。
高校卒業までは
朝5時起きだぜ。
親父が道場をやってるからさ
5時に起きて10キロ走らされたり
組手やらされたりしてんの。
俺がTODOMEKIの総長になってからは
朝練は免除になったけどさ
弟たちは
未だにやらされてるしさ。
親父も母さんも
すっげー恐ろしくてさ。
母さんの怒りが爆発したときには
物が飛んでくるんだぜ。
この前は
ニンジンが俺めがけて飛んできたから
間一髪で天井に張り付いたし。
忍者の技を身につけておいて
良かったってマジで思ったわ。
親父と母さんを怒らせたら
とにかく逃げるからな。俺」