白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
そんなタイプには
全く見えない。
だって礼音さんは
誰とでもすぐに仲良く話せちゃうような
人間関係の悩みなって
全くなさそうな感じだし。
礼音さんは、話を続けた。
「俺さ、唯一素の自分をだせる親友に
『カメレオン』って呼ばれてた」
「カメレオン……ですか?」
「そう。
人に合わせて
キャラを変えるカメレオン。
親友と家族には
言いたいことをズバズバ言う
俺様系なのにさ。
それ以外の人の前では
素の自分を隠してた。
子供の頃から
人の顔色ばっかり窺って。
相手が喜びそうなキャラを
その場で作って。
クラスの女子からはさ
『いつも笑顔の王子さま』みたいに
言われていてさ。
でも十環くんと同じで限界感じてさ。
琴梨が俺の前から
消えたことがきっかけで
高2の時にカメレオンになるのを
やめたんだよね」
凛とした姿で
カラー剤を俺の髪に
つけながら話す礼音さん。
キラキラして
かっこよくて。
俺もこんな大人になりたいなって
憧れてしまう。
そんな礼音さんにも
今の俺と同じ頃
同じような悩みを抱えていたなんて。