白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)


「十環くん……

 私ね……
 高校を卒業したら……

 東京の専門学校に行きたいの」


「え?」


 結愛さんの突然の告白に
 俺の頭の中に
 真っ白いペンキがばらまかれた。


「卒業したら
 地元の専門学校でファッションを学ぶって……」


「十環くんとずっと一緒に
 いたいなって思ったから
 地元の専門学校に行こうって
 思っていたけど……

 やっぱり…… 
 東京の専門学校に行きたい……」



 今にも雫が零れ落ちそうな瞳には
 強い意志が光っている。


 でも結愛さんが東京に行ってしまったら
 簡単には会えなくなってしまう。


 それに不安で仕方がない。


 俺よりカッコいい奴なんて
 東京には数えられないほどいる。


 いつもそばにいてくれる優しい相手が
 結愛さんの前に現れたら
 俺なんかが勝てる気がしない。

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