白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
「東京の専門学校に行くってことは
向こうに住むってことだよね?
俺となかなか会えなくなっても良いって
結愛さんは思うの?」
「それは…… イヤだけど……」
「俺と…… 別れたいの?」
その言葉を聞いて
結愛さんは目を見開いた。
そして、唇をギュッとかみしめながら
顔を左右にぶんぶん振った。
「十環くんと別れたくない。
別れたくないけど……。
自分の夢も…… 捨てたくない」
「地元の専門学校でも
十分に学べるんじゃないの?」
「ここじゃダメなの。
私の一番学びたいことは
教えてくれないから」
俺はどうしたらいいんだろう。
結愛さんの泣き顔なんて
見たくないのに。
今すぐ俺が
結愛さんを笑顔にしてあげたいのに。
ずっと俺の隣にいて欲しい
大好きな人だから。
でも……
東京には絶対に行って欲しくない。
俺がそんなことを思っていると
泣き声に混じりで
結愛さんが思いを吐き出した。
「十環くんなら……
私の夢を……
応援してくれると思ったのに……」
その言葉を残して
結愛さんは走り去っていった。