白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
避けることで精いっぱい。
総長が振り下ろす木刀を
何度も自分の木刀で受け止める。
体制を立て直して
総長に向かって渾身の一振り。
忍者さながらの
アクロバティックな身のこなしで
総長はバク天2連続で
俺との距離を取っていた。
「さすが
忍者LOVEの総長らしい
間合いの取り方ですね」
「十環は剣術に長けているからな。
忍者の動きを入れ込まないと
俺の身が危うくなる。
でも、中学生に負けるほど
俺は落ちぶれてなんかいないけどな」
その言葉を聞き終えた瞬間
総長を見失った。
ハッと気づいた時には
俺は後ろから
羽交い絞めにされていた。
「総長……いつの間に……」
「お前の視線を
ちょっと他に誘導しただけだよ。
こんな純粋な十環をだますことぐらい
簡単なんでな。
ちょっと休憩」
総長はそう言うと
俺から離れ、床にぺたりと座り込んだ。
子供扱いされた気がして
少しムッとしたが
俺はそれを隠すように笑顔を作った。
俺の居場所は
このTODOMEKIしかないから。
だからここでは
いつも笑顔でいるようにしている。
仲間に嫌われ
追い出されたら
俺はどうやって生きていけばいいか
わからなくなってしまうから。
あの頃の、俺みたいに。