【短編】澱(おり)
「でも、幼馴染だよ? 家も隣同士だし、これでダメだったら私もう居場所なくなっちゃうよ」
「そんなこと言ってたら、すぐに中学生になっちゃうよ? 部活とかしてたら余計に会えなくなるし、そしたら知らないうちに圭吾くんにカノジョできちゃってるかも」
「えー? 圭吾にカノジョ? そんなの想像できないよ」
「1組の吉田と田中さん、付き合ってるでしょ? そんなのちょっと前まで想像できなかったでしょ? 中学生になったら、そういうことがたくさん起こるかもしれないよ?」
美樹ちゃんの言葉に、私は急に不安になった。
「ほら、あと2週間でバレンタインじゃん。告白の大チャンスじゃん」
バレンタインに、圭吾に告白。
美樹ちゃんに背中を押された形で、私は不安を押し込めて決意を固め、それと同時に美味しいチョコ作りの練習を始めた。
また昔みたいに、圭吾と仲よくしたかった。
それが本物の恋心だったのかは、今となってはもうよくわからないけれど、でも当時の私は私なりに真剣だったのだ。
ただ、圭吾と、ずっとずっと一緒に笑っていたかっただけだったのに。
なのに、バレンタイン前日に、事件は起きた。
「そんなこと言ってたら、すぐに中学生になっちゃうよ? 部活とかしてたら余計に会えなくなるし、そしたら知らないうちに圭吾くんにカノジョできちゃってるかも」
「えー? 圭吾にカノジョ? そんなの想像できないよ」
「1組の吉田と田中さん、付き合ってるでしょ? そんなのちょっと前まで想像できなかったでしょ? 中学生になったら、そういうことがたくさん起こるかもしれないよ?」
美樹ちゃんの言葉に、私は急に不安になった。
「ほら、あと2週間でバレンタインじゃん。告白の大チャンスじゃん」
バレンタインに、圭吾に告白。
美樹ちゃんに背中を押された形で、私は不安を押し込めて決意を固め、それと同時に美味しいチョコ作りの練習を始めた。
また昔みたいに、圭吾と仲よくしたかった。
それが本物の恋心だったのかは、今となってはもうよくわからないけれど、でも当時の私は私なりに真剣だったのだ。
ただ、圭吾と、ずっとずっと一緒に笑っていたかっただけだったのに。
なのに、バレンタイン前日に、事件は起きた。