しあわせ食堂の異世界ご飯6
 それとは反対に、エストレーラからやってきた王女には、国民からの思い入れは一切ない。
 ゆえに、どうせならロスタン公爵の令嬢とそのまま結婚してくれたらよかったのにと考えていたほどだ。
 せめてジェーロに国益をもたらす婚姻でありますようにと、そんなことを国民は思っていた。

 ***

「はぁ……アリアお姉様、とってもお綺麗です!!」
「ありがとう、ルシア。遠い道のりで、ジェーロまでくるのは大変だったでしょう? お父様とお母様も」
 大聖堂にある花嫁の控室で、アリアは久しぶりに家族との再会を果たした。今日の結婚式に、数日前から駆けつけ滞在してくれていたのだ。
 目を潤ませ、自分のことのように喜ぶ妹のルシア。
 そして、まさか本当に大帝国の皇妃の座を射止めてしまった自分の娘に驚きを隠せない両親。
「本当におめでとう、アリア。まさかエストレーラとジェーロが婚姻を結ぶとは、まったく考えてはいなかった……」
「アリアが妃候補としてジェーロに行きはしましたが、大国の姫もいると聞いて……やっぱり無理だろうとあきらめていましたものね」
 なんてことを、両親が言う。
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