しあわせ食堂の異世界ご飯6
 非常に残念だが仕方ないと、リベルトは前を向いた。

 ***

 ぴょんぴょんジャンプをしながら、「見えないー!」とカミルが叫ぶ。
「ああもう、なんだってこんなに人が多いんだが」
 皇帝の結婚式をひと目見るために押し掛けてきた人たちにまざり、カミルとエマもしあわせ食堂を臨時休業にしてやってきていた。
 どうにかしてその姿をひと目見たかったのだが、なかなかに難しそうだ。
「しかしアリアちゃんがエストレーラの王女だったなんて、驚いたねぇ……」
「ああ。俺、リズについていったら王城でさ、しかも皇帝がリントだったんだぞ!? あのときの衝撃と言ったら……今も思い出したらひゅってなる」
 息子の言葉に頷きつつ、エマは周囲の声――主に、ロスタン公爵の娘がよかったのではないかと言う声を聴いて心配になる。
 今までなにも利益ももたらしていない他国の王女よりも、国民のために病院などの施設を作ってくれたロスタン公爵のほうがいい、と。
「……大丈夫かねぇ」
「あー、リズの父親か。っと、リズベット様か。俺は一部始終を見て理由を知ってるけど、国民にとったらいい人っていう認識だもんな」
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