しあわせ食堂の異世界ご飯6
 料理名を言うと、案の定カミルは知らないと首を振る。そして顔を輝かせて、「早く食べたいな!」と嬉しいことを言ってくれた。
「アリアの作る料理は、全部美味いからな」
 いつも楽しみで仕方ないと、カミルがワクワクしている。料理人である自分への信頼は嬉しく、自然と笑みがこぼれる。
「カミルにも作り方を教えるから、帰ったら一緒にやろうよ」
「もちろん!」
「味見は任せてください!」
 自分の胸を叩きどや顔のシャルルに、思わずアリアとカミルが噴き出す。それにシャルルが頬を膨らませつつ、笑顔で答える。
「子供のころから、味見係は私って決まってたんですから!」
「それはまた贅沢すぎる子供時代じゃないか、羨ましい……」
 アリアの料理を子供のころからずっと食べていたら、もうよそでなにか食べるのは無理なんじゃないかとすらカミルは思う。
 カミルにとって、アリアの料理はそれだけ次元が違うのだ。
「も~! あ、おじさん。かぼちゃと、ブロッコリーと、玉ねぎをお願いします」
「まいど!」
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