しあわせ食堂の異世界ご飯6
 買った食材をアリアが受け取ると、それを横からカミルに奪われてしまう。男だからと、いつもカミルが荷物持ちを買って出てくれるのだ。
 せっかくの厚意なので、アリアも素直にお願いする。
「次はなにを買うんだ?」
「ありがとう、カミル。調味料はお店にあるから、あとはチーズと鶏肉かな? 牛乳は確かまだあったよね」
「了解。牛乳はあるから、大丈夫。明日の分はまた朝に仕入れるし」
 必要なものさえわかってしまえば、あとはカミルの得意分野だ。
 しあわせ食堂の仕入れを担当していることもあり、市場にある食材の店はほとんど把握している。
 そしてもちろん、しあわせ食堂にある食材や調味料の類もしかり。
「アリアのチーズを使った料理は、どれもとろけ具合が絶品ですよね! うぅ、今から楽しみで仕方がないです!」
 早く行きましょうと急かすシャルルに、アリアは笑いながらついていく。
「歩くスピードを上げても、夕食の時間は変わらないのよ? 早く食べたら、夜にお腹がすいちゃうし……」
 規則正しく食べられるなら、それに越したことはない。
「それは盲点でした!!」
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